ふや町映画タウンに森高千里さんのプロモーションビデオがあり、吉川ひなのさんの「TOKYO EYES」*1を観て以来、90年代前後のアイドルににわかに興味を持ったものだからレンタルを申し出た。
これは、久里洋二さんがアニメーションをつけておられるということで揃えられたそうで、久里洋二さんの作品集レンタルのおまけとして貸し出しておられるとのこと。
久里洋二さんの作品は以前TV放映で観たことがあった*2のだが、再見することにした。
同封されていた音楽評論家のあきやまくにはるさん*3の解説によると、1960年代"前衛芸術の震源地”とひとびとに称された草月アートセンターで、画家、漫画家、イラストレーターの当代の売れっ子として知られていた久里洋二、柳原良平、真鍋博の三人が「アニメーション三人の会」を結成して発表会を開き(1960/11/26)、久里洋二の「切手の幻想」と「二匹のサンマ」、柳原良平の「海戦」、真鍋博の「マリン・スノウ(海の雪)」が上映された。それは1950年代の企業化されたシステムによる東映動画へのひとつの反逆であったともいえるとのこと。
また1964年以降は「アニメーション・フェスティバル」を開き一般公募、久里洋二は当時、画家やグラフィック・デザイナーにも自分のスタジオの設備を貸すのでアニメーションを作るように声をかけ、宇野亜喜良の「白い祭り」、横尾忠則の「キス・キス・キス」や「アンソロジーNo.1」、和田誠の「殺人(マーダー)」をはじめ、数多くの傑作が生まれた、としている。
和田さんの「殺人(マーダー)」は、ほんとおしゃれで画期的な作品で心に残っているのだが、調べてみると前述の「第一回アニメーションフェスティバル」の際に依頼されて作られた作品だという。(こちらに詳しい解説)
ビデオの感想に戻ると、「二匹のサンマ」(1968←カラー版 白黒は1960)は以前はさらっと観ていたが、ある小島でサンマを七輪で焼いていた時代から工業が入り、戦争がはじまり、と日本のことをいっているのだなと。1967年の大藤信郎賞受賞。
「殺人狂時代」(67)は「マーダー」を久里さん流にしたような感じも。
「寄生虫の一夜」(72)は、寄生虫って狭義のものを想像していたが、人間の中に巣食う拝金主義なども寄生虫として描いているんだなと気づく。
森高さんのプロモーションビデオ「ミーハー」(88)は、はじめて森高さんが作詞を手掛けたものらしい。森高さんのことをあまり存じ上げていなかったが、92年に話題になった「私がオバさんになっても」などで枠にはまらないものは感じていたが、88年「ミーハー」時点でアイドルに対するメタ的なアプローチを感じさせ、やはり・・というような気持ちになった。久里さんのアニメはフィットしていると思った。
※久里洋二さんの作品集、以前DVDも出たが廃版で今は中古市場のみ。「入手困難」カテゴリーに入れておく。