アステロイド・シティ

 

50年代のSF映画の感じがベースになっている。モノクロ部分とカラー部分のつながり、鈍い自分ははじめ戸惑ったが、カラー部分を演じている演劇の話かなというのが自分の解釈。

ウェス・アンダーソンの映画にいつも出てきて、その存在を乗り越えたり、その存在自体の哀しみが表現される「父」、今回のその役回りは、トム・ハンクス。若い時から観てきているから、今や彼がこのポジションなんだなと感慨。

数学的に整って美しいけれどそれが人を遠ざける鎧のようにもみえるウェス・アンダーソンの作品。今回はそれを纏って世の中にやっと対峙できるようないびつで傷つきやすい魂というものを親近感をもってとても意識した。

おちょくったような変わった口調でだけど冥界に行ってしまった人たちと自分やさらに自分よりあとの世代の人びとをつなぐまさしく「夢」というものを楽しませながら提供してくれた作品だったなあと後味良く噛みしめている。