バージニア・ウルフなんかこわくない

 

エリザベス・テイラーリチャード・バートン演じる中年夫婦の、長年の共同生活からの憤懣。だんだんクレッシェンドをかけるようにはっきり語られ混沌としていくのだが観ていていやな感じがあまりしない。パーティ後のくたびれて酔った勢いという設定でもありヒリヒリする部分はあるものの長年夫婦生活や誰かと共同生活を送ってきたものからみたら妙に身につまされる当てこすりから始まり段々直接的に言いつのり他者の前で調子に乗っていく夫婦の姿は少し観ているものの心のなかにある毒を抜く効果もあり、外から見たら恵まれた家庭の泥仕合という面白みもあり、また夫婦の内実に踏み込みたいという謎解きめいた気持ちにも引っ張られ、迫真の演技を突きつけられ、これ一体どうするの?と眼が離せない。

そこから夫婦の醜態を晒しものにし消費して終わりというのではない地点にまで連れて行かれ、ENDマークのあとの長い真っ黒な画面は二人の間にあったことを反芻させ、思いを鑑賞者の身に取り込ませる。引き込まれっぱなし。

ふや町映画タウンおすすめ ☆☆☆(かなり、おすすめ!!!)