フィオナの海

 

アイルランドの海辺の祖父の家に預けられた少女フィオナ。そこで彼女とこの作品を鑑賞しているものが出会うのは石牟礼道子さんの文章にも出てくるような人間が自然に対して優位であるなんてひどく驕り高ぶった考えであると感じさせられる自然と人間の関わり合い、そして異文化の相克と融和のストーリーだ。アイルランドの民が自国のことばを使うことに対する迫害は沖縄のことも思い起こさせる。

かといってあくまでも少女主体に描かれるこの物語、堅苦しいものでは決してない。フィオナの服装も貧しいけれどきちんとした暮らしも美しく観ていてとても気持ちが良い。そして、自分たちの手で生活を組み立てていくことの心地よさも存分に味わう。

アイルランドの灰色の空、不幸に見舞われた家族の不安そうな瞳。。そんなタッチですすみながら、思わぬ贈り物のあるこの映画。甘すぎないタッチがまた良く、きちんとした素材でちゃんと調理したお料理におもがけないデザートがついていたような満足感を味わった。ジョン・セイルズ監督、やっばりいいな。

エンディグに流れる絵がまたとってもかわいい。↓原作本のこのタッチ。