蜜蜂と遠雷

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 発売日: 2020/03/08
  • メディア: Prime Video
 

 

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CMの時によくかかっていたピアノ*1に惹かれ、原作*2より劣るような評判を危惧しながら観てみた。

監督はきっと原作が大好きでそれを咀嚼してわかりやすく提示しているのだと思うけれど、鹿賀丈史演じる個性の強い指揮者のくだりとか、斉藤由貴演じるコンテスト審査員の、審査員とは思えないようなセリフをコンテストを受けている当人に吐く場面とか、原作にはなかったように思うし、悪い意味で漫画的というか、メリハリつけすぎというか・・安っぽくまとまっている感じがしてしまう。

原作を読んでいたから映画で説明していない背景も感じ取りながら観たけれど、原作を読んでいない人だと簡単にまとまりすぎていて原作の真意が伝わらないように思う。

キーになる4人の俳優は良い。最初、松岡茉優演じる亜夜の水筒の設定など細かいところに気が配ってあり、これは!と期待したのだが・・松坂桃李は家の設定もよかったし、大変魅力的だった。あと、原作でも気になっていたコンテストの仕切りをする人の存在が映画でしっかり描かれていて、演じる平田満氏によってさらに印象深くなっているのは好ましかった。平田氏、80年代に紀伊国屋ホールで「蒲田行進曲」で風間杜夫演じるスター俳優を支えるややマゾヒスティックな大部屋俳優ヤスの役で初めて出会い、その後情けない役をさせたら絶品!というイメージであったが、最近ではドラマ「宮沢賢治の食卓」で、宮沢賢治の父親を演じられたり、社会的に信用されているようなポジションの役をされているのが一緒に年を重ねてきたような感じがして、みていて嬉しくなる。

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光石研さんや片桐はいりさんも出演されていて、私はお二人のことを好きなのでそれは嬉しいのだけど、光石さんが出ている、とか片桐さんが出ているだとか、それで喜んでいるようでは気が散っている感じがするし、全くの娯楽作ならそれでもいいけれど、そこもどうなのかなとも。受付にいるはいりさんは、もぎりをされていたという経験と重なって微笑ましいものではあったが・・

全体的に考えると、この作品は絶対原作で味わってほしい。映画だけで「蜜蜂と遠雷」ってこういう話か、と片づけられるのはもったいない。

 

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

 
蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

 

 

*1:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 Op.26~第3楽章よりコーダ らしい

*2:蜜蜂と遠雷 - 日常整理日誌