チューズ・ミー

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「モダーンズ」*1がなかなか良かったアラン・ルドルフ監督。ふや町映画タウンのおすすめ印のついているこの作品もみてみた。ラジオの人気カウンセラー、ナンシーというのがちょっと「おいおい」という気分にさせられる役なんだけど、彼女を軸にしているからおもしろいドラマである。彼女の雰囲気がチェンジするところは鮮やか。ちょうど公開年次が同じ山田太一のドラマ「真夜中の匂い」というのを日本映画専門チャンネルでみていたのだけど、その中で中村久美さんという女優さんが演じている女子大生が変貌を遂げるところと空気が似ている。

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この「真夜中の匂い」の方も女子大生がイキがっている時は「どうしちゃったの?」と思うようなセリフが出てきたりするのだけど、*2「真夜中の匂い」にしろ、「チューズ・ミー」にしろ、80年代前半の空気も映しているのかなと思ったりしている。いろいろイキがる余裕もあって、ある意味楽天的な時代。

「モダーンズ」でも主人公はこの映画と同じキース・キャラダインだったのだが、このキース・キャラダインがすっとした美男子なもので、屈折した敵役ジョン・ローンに惹かれてしまったが、今回も、キース・キャラダインの敵役、DVで高慢で勝手なパトリック・ボーショウ演じる男ザックが気になってしまった。まあこの男、登場人物と重要に絡んでいて魅力がなきゃつとまらない話だと思う。

また謎めいた若い女として出てくるレイ・ドーン・チョン、彼女もスタートはひどくイキがっているけれど、ヌード姿でベッドに寝ているショットがとても美しく、いつか見たマリリン・モンローの写真のようだった。ちょうどその部屋にはマリリン出演の「ノックは無用」のポスターが。この部屋というのが、先述のザックの部屋でもあるんだが、そのほかにもこの映画の舞台で話のとっかかりになる「イヴ」という名にちなんで「イヴの総て」、ほか検証しきれなかったがたくさんの映画ポスターが貼られていて、それらの映画作品へのリスペクトが感じられる上に、ザックのキャラクターも感じられ面白い。(「モダーンズ」でジョン・ローンが演じた役にも重なるコレクター趣味。)ポスタータイトル全部追うことができたらさらに楽しめそう。

「モダーンズ」でもみているものをびっくりさせるシーンのあった後、それが回収されるが、こちらの映画でもナンシーのしょっぱなの不可解な行動を一応腑に落ちさせるシーンが用意されていて、その辺の丁寧さに好感を持つ。

*1:モダーンズ - 日常整理日誌

*2:山田太一氏のドラマって常々思い切った跳躍があるのだけど、その跳躍がすらっといく時と跳躍への違和感がみているものに強い時とあって、それは、それまでの地ならし、あるいは、もう何でも起きたことは起きたこととして飲み込ませる役者の演技などにかかっているのだろうかなあと思っている