夢のバスにのって

原題「JULIANA」。1989年ベルリン国際映画祭 ユニセフ審査委員会賞受賞のペルー映画。フリアナというリマのスラム街に住む女の子の物語。墓地の掃除で日銭を稼ぐ日々を送っているが、義父の横暴にたえかねて、家出。男の子の格好をして弟のいるストリートチルドレンのアジトに住み、バスで歌を歌って乗客から小銭をもらって暮らしはじめる。登場しているのは皆、ほんもののストリートチルドレンらしく、その子の雰囲気にあった独白をそれぞれに語らせているシーンが印象的だった。つくってはいてもその子からにじみでている何かがリアリティーをもたせ、深い洞察を感じさせる表情は、長い人生を苦労して歩んできた老人の顔にも通じるものがあった。南米ならではのリズムや風景も乾いた楽しさ美しさがあり、核になるストーリーも素朴ですてきなものだった。