はだかっ子

田坂具隆監督。昭和36年作品。小学校6年生の物語。映画自体もカラーになっているし、日本もだいぶ豊かになった感じはあるけれど、主人公の男の子は生まれる前に父親が戦死、木暮実千代演じる母親が、工事現場とチンドン屋の仕事のかけもちをしてなんとか生活していってる。まさに美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」の状態。でも殊更に同情をひいたりする筆致ではなく、他の生徒たち同様いろいろな問題を抱えながら(例えば家族が米兵の世話になっていて同級生から嫌がらせを受けたり、からだが弱かったり)日々を送っている感じが出ている。子供とPTAの討論会のようなシーンがあるが、戦後民主主義教育というものが反映されている気がした。その討論は至極まじめで、モンスターなんとかとか民主主義の悪用みたいなものが入る隙がない。お母さん役木暮実千代の、べたべたしてないけど愛情深くて、こどもを育てるためには、仕方のない事情もかかえながらもなんとかやってるビターな感じが良い。また主人公たちと同じ長屋に住む大工の三國連太郎がいなせでとてもよい味。きっとあの二人の年齢設定、いまの自分よりずっと若いだろうけど昭和のよい大人たちだなあ。ユネスコ村や所沢らしき(こちらのブログで書かれている。)昭和30年代の町並みを味わえるのも楽しい。

はだかっ子 [VHS]

はだかっ子 [VHS]