ピカレスク 太宰治伝

興味深く読めた。猪瀬直樹の本、「日本凡人伝 二度目の仕事」や「ミカドの肖像」もおもしろく読んでいたのだけど、この本も、太宰治伝といいながらその背後の井伏鱒二のことにかなり鋭く切り込んで読ませる。1999年9月号からの連載であったようで、ずいぶんたくさんの、直接の証言者の声を拾っていて、(当時80代、90代の方も多いことをみると、本当にぎりぎりのタイミングかも)それがしっかりした肉付きになって伝える力の強い読み物になっている。
あとがきに「死のうとする太宰治ではなく、生きようとする太宰治を描きたかった。」とあるが、猪瀬さんの説に頷くものあるなあ。


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