まず映画の方を先にみて原作を読んだのだけど、原作をうまく映画向けにしてあるなあと思った。原作の、誠実にあったことを記し、極力盛ったりせず、作者の中での真実と感じられることしか描かないという感じがする風合いが映画として公開するためにちょっと変えられているところもある気がする。映画作りも誠実な方だとは思うけれど、最後のクライマックス的なシーンでの人の配置などにそれを感じた。でも映画、全く悪くない。というかすごく良い。原作をうまく一般的に説明できている感じがあって、この作品の魂に接し理解する裾野を確実に広げていると思う。(原作は原作で訥々とした魅力があるけれど)
介護ものや福祉ものの作品に出会ったときの敬して遠ざけたいような感じはゼロ。映画も原作も楽しく味わえるし、「介護問題」だとか「介護地獄」などという、迷惑かけられる、みたいな話でなく、誰でもはじめからおばあさんじゃないし、自分の延長線上にこの世界があるんだよ、でも悪いことばかりじゃないんだよというのがほんわかとしっかり伝わってよい作品だ。
映画の方の赤木春恵の表情がほんとにリアルで(知人に会ってぼんやりとしているところやはっと認知症の世界から目がさめるようなところ)よいし、岩松了もぴったり。加瀬了の細やかすぎてお酒に溺れる昭和の父親の雰囲気もすばらしい。映画の中で実写がちょっとキツいところはアニメ使ったりその按配もうまい。
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