空也上人がいた

日常をとてもリアルに丁寧に描いた上でそれを切り裂く何かを表現する山田太一氏らしい作品。今回は介護や老いがテーマ。だけど、氏らしく、それを老いたる人に出会う若者の視線で描いていく。救済という言葉を安直に使ったら山田太一氏の本意ではない気がするが、キリスト教でいうところの原罪のような人間の弱さを前提とした上でのそこからの道筋。今の日本に向けての氏の思いが強く感じられる。

空也上人がいた (朝日新聞出版特別書き下ろし作品)

空也上人がいた (朝日新聞出版特別書き下ろし作品)