スクラップ集団

野坂昭如原作らしい飛躍ありつつのコミカルでシニカルな作品。同じ野坂原作の「とむらい師たち」も思い出す。元医師の三木のり平が、釜ヶ崎の飲み屋で前職が、し尿処理、ケースワーカー、くず拾いの三人を見つけスクラップ会社を設立し。。という話。戦後昭和的というか、なかなか乱暴な手腕を発揮して繁盛させるのり平が妙に頼もしくみえたりもする。極端に描かれているけどこういうタイプの人たくさんいただろうな。

スクラップといっても壊す一方でなく、リサイクルを兼ねて商売にするという発想やボタ山廃墟を見せ物にしようという発想など先見の明ありともみえる。(見せ方はあくまでも昭和的だけど。) そこから行き過ぎて、すべてのものはスクラップするためにあるという発想になってしまうのも、ちょっとわからないでもない。

前半、スクラップ集団が釜ヶ崎に流れ着くまでの回想話になっているのだけど、ケースワーカー露口茂のエピソードのところで出てくるのが笠智衆の父親と宮本信子の娘や、左朴全、ミヤコ蝶々など。豪華だ。水上生活の描写は「泥の河」も思い出した。

釜ヶ崎でのスクラップ集団の下宿先の女の子が奈美悦子。奈美さんを映画でみるの珍しいように思うが、なかなかチャーミングだつた。

小沢昭一は哲学する屑屋みたいな役だけど小沢さんご本人の雰囲気とぴったりな感じがした。

スクラップ集団 [VHS]

スクラップ集団 [VHS]