染五郎の超訳的歌舞伎

染五郎さんが監修された歌舞伎の衣裳図鑑の本*1の端々から染五郎さんの意気が伝わりこの本も読んでみた。
さまざまな演目の解説を演じ手からのポイントで書かれていてとても読みやすいし、次の鑑賞ガイドにもなる。
野村萬斎さんの「萬斎でござる」*2も、伝統芸能の家に生まれて、今どういう気持ちで仕事をしているかという話だったが、この本を読んでいると重なるものを感じることが多かった。伝統芸能以外の仕事もされているという共通点もあるし。萬斎さんの方が、父にこうたしなめられたというような話も多く、染五郎さんのほうは、父を尊敬しながらも自分は自分という空気が強いかな。。書かれた時期も萬斎さんの方が33歳の時の本で、こちらは染五郎さん40歳の本ということもあるしな。。40歳をひとつの節目として染五郎さんが人生の目標をたてておられるのも尊敬と共感をおぼえる。
染五郎さんは「妄想歌舞伎」という言葉をよく使われるが、たとえば三谷幸喜の「決闘!高田馬場」のような新作などのたびに「これは歌舞伎じゃない」とか「歌舞伎だ」とかいう論議がなされることに面倒な気持ちになって、自分はこれが歌舞伎と思っているんですケド、っていう挑戦を込めて使ってらっしゃるのだろうなと思う。もしかしてこの本のタイトルも妄想歌舞伎の方の言葉を使いたかったけれど、「妄想?」みたいな感じでこの標題になったのかなと思ったりもする。染五郎さんの「妄想歌舞伎」の受け継ぎ手として坂東巳之助さんと坂東新悟さんも「歌舞伎いまじナイト」というものをされたりしているらしい。(記事こちら

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