キューブリックだけど、戦争ものだし、鬼軍曹が出てきてなんかえらい汚い言葉で罵る、って話をきいて後回しにしていた。この軍曹をパロディにして使っているときいたピーター・ジャクソンの「さまよう魂たち」*1の方だけはみていたが、それから推測しても元の「フルメタルジャケット」はキツそうな映画だろうなと勝手に思っていた。
先日若い知人が見た感想を語っていて、軍曹は憎めない感じ、なんていうものだからちょっと見てみる気になって、みてみた。
覚悟が決まっていたせいか、確かに鬼軍曹、次から次へとこんなに人をコケにする綽名や言葉を思いつくなあと感心するほどの暴言ぶりだったけれど、人を傷つけることに関して天才的という感じでおかしくなってしまうほどだった。キューブリックの映画ってすごい悪徳を描いているのにそれをどこか快感と感じている自分に気づく恐ろしさがあるような気がする。
戦争ものって好きな分野じゃない私のような人間に、次どうなるんだ、とひきつける技。キューブリックの才能だと思う。音楽の使い方もいい。最近よくある感動的なオーケストラ、そして爆撃シーンの変なストップモーションとか一切なく、ロック・ポップ系の音楽が安っぽくなく使われ、乾いた描写。このセンスの良さがキューブリックの魅力だろうなとつくづく思う。
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