聖家族

山登りのような読書だった。それも東北の険しめの山を登っている感じの。都の支配とは違う系譜の、体自体を武器にする一派(それは烏天狗などともつながり、修験道的色彩を持つ)の長い長い歴史の物語なんだけど、点から語られ、それが線になる構成で、はじめついていくのに難儀した。作者の古川日出男さんは「ベルカ、吠えないのか?」でも軍用犬を軸にした歴史を描いて、とっつきにくいものの読み終えたあとは充実感を与えてくれたが、この本もそういう感じ。歯ごたえのあるものを読んだ心地よさが残る。

聖家族

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