格闘する者に○

格闘する者に○

格闘する者に○

なんとも奇妙なタイトル、そして少女漫画風の表紙。おはなしの展開も、作者は少女漫画好きなんだろうな、という感じなのだけど、それは幼稚だという意味ではない。現代において文学的事柄を多くの人の胸に届くようにうまく作られている作品を考えたとき、質のいい少女漫画がその上位にあげられるであろうし、少女漫画的切り口で読者にアプローチするこの小説は本当によくできているなぁと思った。就職活動中の大学生が主人公なのだけど、本当に尊敬に値するほどものごとの本質がわかっていて毅然としていて、だからといってさめているわけではなくて、マニュアルをうのみして失敗した自分の就職活動に必要だったのはこの感じだったんだ〜といたく後悔したり。とにかくさわやかな一冊。タイトルや、書き出しの不思議な文章の秘密も途中で解き明かされるその仕組みも 楽しめるなぁ細やかな仕事ぶりだなぁと快哉をあげる。 (2004 3/1)

★こどもにも進路選びの参考にしてもらいたいくらいだけど、ちょっと照れる部分もあるかな・・