日本人への遺書

天本さんが骨のあるユニークな俳優さんであることは訃報とともに紹介された話で知った。
旧制高校から軍にまわされ、東大へ進学、中退、俳優へという経歴をおもちの天本さんだからこそ語れる説得力に満ちた話、なにか自分の、日本の現在をもし天本さんがごらんになったらどう思われるだろう。。と反省したくなるような話が、凛とし、かくしゃくとした調子で綴られていた。
一番胸に響いたのは旧制高校の人たちの人間関係。小説などでもとても親しみをおぼえているのだけれど、旧制高校へのあこがれがまた増した。
ご自分でかかれたスペインの小物の絵や、それの解説の文字からも天本さんのきっちりした、でもせせこましいわけではない人柄がしのばれる。
木下恵介監督や岡本喜八監督のことも少しでてきて、日本映画の好きな人にも楽しめる本になっていると思う。

日本人への遺書(メメント)

日本人への遺書(メメント)