Mother

ドラマ「カルテット」で坂元裕二氏ってよい脚本を書かれるなあと遅まきながら気が付いた私。その次に放映された「anone」もみて、さらに日本映画専門チャンネルによる再放送枠で「anone」の源流のようなこの「Mother」にたどり着いた。*1
「Mother」の本放送時そのタイトルにとても緊張感を覚えたし、初回何かはきはきした高畑淳子演じる母がどうやら松雪泰子演じる長女に避けられているという描写、酒井若菜演じる次女の長女へのつきあげみたいなのに、これはみるのつらいものでは?と危惧したが、上から何か被せてのぞくのやめた傷口をあけてみてちゃんと治療するがごときストーリーで、力を与えられた。高畑さんも、「真田丸」の母親役みたいな素っ頓狂な役ではなく、ほんとに頼もしい実社会で活躍する女性という感じが、だからこそのマイナス面みたいなものもちゃんと描かれ、とてもよかった。酒井若菜、主人公松雪泰子、田中裕子、芦田愛菜*2市川実和子、すべてに成長があり、充実感がある。
「anone」とは色々な意味で近い作品だったが、「カルテット」でもだったけれど、社会のルールを超えてもという激情、でもまたルールの中で生きていく自制心、その兼ね合いがとても魅力だ。
また親子のつながりというものが血のつながりでなくて、共に暮らして思い合うことという描き方すばらしい。この感じ、ちょっと前にも別の作品で感じたなあと思いを巡らしていたら、それはヒグチユウコさんの「いらないねこ」*3を読んだときだったと気づいた。
そして、主題歌hinakoの「泣き顔スマイル」。良い。安っぽい感動作ではない見応えのある作品。
田中さんが関係する銀行が天城信用金庫というのもよかったな。

Mother [DVD]

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*1:坂元氏、「東京ラブストーリー」の脚本も担当されていたとのことで、実はあの時代にすでに出会っていて夢中になっていたことも後から知った。

*2:うますぎる子役があまり好きではなかったのに、「山田孝之のカンヌ映画祭」で、山田孝之の妄言につきあう大人な芦田さんをみて好きになったのもあり今回良いタイミングだった。

*3:http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20170902/1504326196