野武士、西へ

久住昌之さんのつくるものが好きだ。泉晴紀さんと泉昌之名義でつくられた「ダンドリくん」や

ダンドリくん (上) (ちくま文庫)

ダンドリくん (上) (ちくま文庫)

「かっこいいスキヤキ」
かっこいいスキヤキ (扶桑社文庫)

かっこいいスキヤキ (扶桑社文庫)

単著の「近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は"江ぐち"というラーメン屋。」

近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は

近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は"江ぐち"というラーメン屋。

そのあとは原作をされている「孤独のグルメ」。*1さらには今回と同じ野武士シリーズの(といっても時代劇とは関係なく、精神上の気概としての野武士の)食べものコラム「野武士のグルメ」*2
久住さんがいただけないと思うものの雰囲気がすごくわかる。虚栄みたいなもの。そして、それを表現するうまく力の抜けた感じのするユーモア。
NHKの「趣味悠々」でパソコン講座に出ておられた時も作品と同じ、知的で頭の回転がいいんだけど、あくまでゆるやかにおもしろく物事をすすめていかれる姿に好感を持った。

東京から大阪まで散歩してみるというこの本も同じ空気。文章に人を惹きつけるものがある。食べ物屋さんの描写、行き交う人の感想などもとても楽しく読み進むが、はじめは今とは様子が違っているなと思っていた広重の絵の表現にうたれたようになるところ、暗闇の山の怖さ、大きな河を渡るときの、あの臨場感。うまいと思う。


野武士、西へ 二年間の散歩

野武士、西へ 二年間の散歩