絶壁の彼方に

三谷幸喜氏の「とび」*1で、ハーバート・ロムという俳優さんの訃報に際し、「マダムと泥棒*2やこの作品の話が書いてあった。特にこの作品は「無数の作品歴の中から、これぞというものを選ぶなら」ということで名前が挙がっている。しかも、DVDになっていない幻の名作とのこと。ふや町映画タウンのおすすめビデオの中にも入っていた。
言葉が通じない独裁国で危機に巻き込まれる恐怖うまく描いている。しかも、なんか自分が選んでその渦中に巻き込まれてしまった負い目とともに。そのあとの首尾はなかなかしっかりしている主人公、やりおるなあという感じ。超利己主義でもあるけれど。
うわさのロムは三谷さんの書いてらっしゃるように「敵か味方かわからない謎の男を、コミカルに、そして珍しく若干ペーソスを交えて」演じていた。

追記:その後DVDも出たようだ。


※2022年冬、「絶壁の彼方に」が、amazon primeで配信され、

twitterでロム氏の話題も出てくる。
「北西戦線爆走機関車」という作品を薦められ観てみる。ちょうどその前、ローレン・バコールがお年を召されてから出演の「マンハッタン・ラプソディ」*3という作品を観て、もっと彼女の映画を観たいと思っていたタイミングでもあった。ロレーン・バコールはお若い時も媚びなくて清冽。活劇的でない汽車の中の会話劇にも味。そしてハーバート・ロムの不気味さ。これも敵か味方かわからない、ハラハラさせる要素があり、物語のキーになる人物だった。政争のさなか、小さい機関車で幼き要人を護衛して進むストーリーだが、機関車の小ささを活かしたストーリーも面白かった。

もう一つハーバート・ロムつながりで観たのが
「ささやきスミス倫敦へ行く」
www.allcinema.net


タイトルほど面白いわけではない。ささやきスミスって探偵、結構ワキが甘くて「ふーん」って感じ。ハーバート・ロムは人形遣いなんかして味がある。ロムを愉しむにはいい作品かも。

 「とび」より