著者の高橋卓志さんが住職を務められる松本市の神宮寺でのアルバイトを息子が大学でみつけてきたので、離れて生活している親としては、どんなお寺かなと思い読んでみた。尋常浅間学校などおもしろいことにいろいろ取り組んでおられること。それがただのイベント好きとかではなく、若き日に戦地将兵を慰問し激励したことを深く悔いられた妙心寺の山田無文師のニューギニアへの慰霊行に随行されたことから、日常のルーティンワークをこなすだけの寺の仕事に疑問を持たれ、寺が社会に対してできることを考えられた経緯などがきっちりと書かれていて納得しながら読みすすんだ。
特に惹かれたのはお葬式の形。一般的な葬儀社を通した仏式のよくあるお葬式の形がまあ普通なのだろうとあきらめていた自分だけど、お寺を介してもこんなに心をこめて故人を送ることができ、それが残された人の心のケアにもなっているのだなとすごく考えさせられた。最近よくあるビジネスとして割り切った戒名をつけるシステムなどへの批判もあり、そういうのもアリか、ぐらいに思っていた自分ははっとさせられた。
- 作者: 高橋卓志
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/05/20
- メディア: 新書
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