これくらいの年代に作られた映画がとても好きな私には、映画の背景がきっちり文章で表現されていて(たとえば野良猫ロックに出てくる新宿西口の広大な空き地や、路上で行われるハプニング演劇とか)とてもわくわくするものだった。自分が上京したのは82年で、この時代にできたり元気だったりしたものを継承したものもまだ新宿や渋谷に残っていて(たとえば渋谷西武の建物、渋谷の喫茶など)きっちりとではないのだけ手ごたえはあって感触がリアルでもあった。
高校紛争に関するところや、友人とのからみなどは友人には友人の言い分がありそうな感じだが、時代の空気を味わわせてくれる、また日頃映画だけで接していたものに肉づきを与えてくれる、という意味でとてもおもしろし本だった。
たくさん出てくる文化人の名前、四方田さんの本を読んでもっと吸収したいなという気分になる。
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/03/28
- メディア: 文庫
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