もう頬づえはつかない

学生時代に原作だけは読んでいたけれど、年代が重なるだけにえらい身近で、当時はそれだけに複雑な気分でちょっとつきはなしてみていたりもしたけれど、今、自分の娘が高二という近い年齢になってからだと、全面的に桃井かおりの演じている役に入れ込んでみてしまった。79年製作なので当時の服装、しゃべり方、下宿の様子、すべてがなつかしかったけれど、だからそこに帰りたいとかではなくて、俯瞰でみることができた。それぞれの登場人物にすごくリアリティがある。ひろいもの、と思ったのは、髪結いのインテリ亭主を演じている伊丹十三。伊丹さんの理屈をきくのはすごく楽しく、おいたままになっていた伊丹さんの本を読み始めた。