山とそば

きょうの猫村さん*1ほしよりこさんの、イラストと文による松本、岩国〜宮島、鹿児島の旅行記。それぞれ、「山とそば」「ヘビに巻かれて」「カルデラのある町へ」というほしさんらしいタイトルがついている。自分もそこを一緒に旅行している気分になるし、またほしさんの眼の付け所が、さすがで楽しい。(猫村さん同様読んでいて気持ちがよいのに、ぽつんと、妙に人を食ったようなおもしろさがある。)
ほしさんの描く動物がかわいくて。へびも鹿も。馬に乗った後、牛倉牛という牛が主人公の話をどんどん話すところなどにも、ほしさんの才能を感じる。
安曇野で私も見かけた「学者村」という表記からほしさんが勝手に話をすすめるところもうれしかった。私もあの文字をみかけたとき、色々空想していたので。
松本民藝館のことを「想像以上に素晴らしいところでした。しかも近所がいい! 近所の家の庭もいい感じです。」と書いておられるのも同意。また民藝の大家の名前とか出さず、「お皿やら つぼやら くすぐる物たちが良い感じの建物にずらっとありまして」というような表現の仕方がいい。
多分京都の実家で、そばをゆで、おみやげに買ったきのこの大根おろし和えを食べながら、「ああでも・・・そばが違う・・・山も見えるけど ちがう・・・だけど マサムラの天守石垣サブレはすごくおいしい!」とつぶやくところも、ほんと気持ちがわかる。

松本メモ 山辺中学のそばの田舎家。ちきりやさんおすすめの女鳥羽そば。中町通りのそば野麦。伊藤まさ子さんが「ミセス」で紹介されたちょっと高級な感じのお店三城(さんじろ)

山とそば (新潮文庫)

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