猫鳴り

豊崎由美さんの絶賛解説付き。猫好きの友人にすすめられたのだけど、豊崎さんも書いておられるように、筆者はほんと猫に対して冷徹で、公平。登場人物の猫への応対ははじめビックリするほどの冷たさ。豊崎さんも指摘しておられるが、これだけ猫のことを描けるのだから、猫のこと好きに決まっているのに、全然甘ったるくならない。でもだからこそ、の大きく心を動かすものがある。また、この本が猫の物語でなく、猫はあくまで人間のそばにいて、人間を考えさせるきっかけになっているだけのものであることも幅広い人に受け入れられている所以だと思う。甘ったるくない静謐、本を通して誰かの人生を感じ取る喜びを味わった。

猫鳴り (双葉文庫)

猫鳴り (双葉文庫)

中村猫整体院

整体院に行ったら先生はどうも猫?というお話なんだけど、猫の特徴がきっちり描かれていて、猫が整体師したらこうなるだろうなー、という感じでげらげら楽しめた。絵もとってもいい。

中村猫整体院 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

中村猫整体院 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

雲がちぎれる時

また*1若き有馬稲子さんを観て「この美人は誰だ?」って思ってしまった。どうも自分の中で今の有馬さんと昔の有馬さんがつながらない。
クラシカルなメロドラマって感じだけど、佐田啓二演じる主人公を支える伊藤雄之助が、時々お見受けする怪演な感じでなく、とってもまともな感じでよかった。そして、倍賞千恵子が嫌味がなくて可憐で!仲代達矢渡辺文雄の日系二世軍人も妙なリアリティがあった。「歌姫」*2でも出てきた高知の中村が出てきて、今高知ブーム。

雲がちぎれる時 [VHS]

雲がちぎれる時 [VHS]

  • 発売日: 1991/11/15
  • メディア: VHS

渥美清の泣いてたまるか 3

「さらば飛行服」(家城巳代治脚本・監督)と「ああ軍歌」(脚本 山田太一 監督 今井正)の二作品収録。1966年と1967年の作品で、一方は忠魂碑建設、一方は軍歌への思いを描いたものだけど、今よりはっきりとストレートに思いが表現されている感じがした。
「さらば飛行服」での、加藤嘉さんのずるい上司っぷり、「ああ軍歌」での母親役賀原夏子さん、子供の頃テレビでよくお見受けしていたような、こういうポジションにはなくてはならないなつかしい感じがした。「国際放映」と「TBS」の昔のロゴも、あの時代に戻った気分。

渥美清の泣いてたまるか(3) [VHS]

渥美清の泣いてたまるか(3) [VHS]

  • 発売日: 1996/12/20
  • メディア: VHS

赤いブーツの女

ホアン=ルイス・ブニュエルといういわゆる有名なブニュエル監督の息子さんの作品。大ブニュエルのものみたいなちょっとおかしなテイストが味わえるとのことで借りてみた。んーー確かに「昼顔」っぽい感じもあるし、幻想シーンがまざるところはすごくおもしろいのだけど(謹厳なメイドのはっちゃけた姿の妄想をみる主人・・そしてそれをメイドに見とがめられた後の気まずい空気など)ちょっとまとまりに欠けるというか、おおもとのストーリーが弱いかな・・・
この映画70年代にはとかくスキャンダラスなとらえられ方していたような・・今みると大したことないのだけどね。

赤いブーツの女【字幕版】 [VHS]

赤いブーツの女【字幕版】 [VHS]