母と子

地味なタイトル、そして、あたりはずれがあるようにきいている渋谷実監督の作品・・なんだが、ふや町のリストで☆が3つ(かなりおすすめ)とのことで、借りてみる。なるほどよかった。ストーリーも陰影があって引っ張られるし男の身勝手(またしても佐分利信が!)が描かれているもののそれを肯定して終わり、ってな話ではなくて。今見ても気持ちのわかるモダンなものだった。
母役の吉川満子さんは哀しげな母とか、わりとぺらぺらしゃべるたくましい母とかいろんな姿を目にして、好きな女優さんだが、この映画のおっとりした子供みたいなお母さんもかわいらしくていい。昭和13年でもこういう子供っぽくて庇護したくなるお母さんっていう概念もあったんだな。
斎藤達雄氏は最近貧相な感じなの*1を立て続けにみたけれど、この映画に出てくるみたいにくわせものの紳士風の方がいいと思うな。
お父さん役の河村惣吉氏、「男の償ひ」でのヤマ師的な感じが印象に残っていて、この作品ではそれなりに大企業の専務なんだが、いかがわしさが漂う。人徳者とかいう設定ではないからこれでいいのだけど。

母と子 [VHS]

母と子 [VHS]

  • 発売日: 1992/11/21
  • メディア: VHS