自由の幻想

すごい人を喰ってる。修道院、お医者さん…からはじまってありとあらゆる「社会的に認知されていること」に疑りの目を。大真面目で品のいいスタイルで。

※2023年7月 再見 
観たことをすっかり忘れていたが、途中警察署での講義のシーンでやっと「観たことあるような・・」という気になる。

すべてに固定観念からのリバース。お手洗いと食事のイメージが反対になっていたり、旅籠で喫煙しポーカーに興じるカルメル会修道士たち(カルメル会は隠遁生活のイメージ)。聖母やら聖札が賭けのツールになっているっぽい。ドミニコ会かと尋ねられ、威厳たっぷりにカルメル会と。それは何よりとのこたえに修道士の二度見。意味ありげ。修道士がやたら会う人に植民地で会ったことないかきいてみたり(ベルギー領コンゴなど)、聖人の資格取り消しの話など、いつも教会の権威が気になって仕方ないブニュエルらしいなと。
若者と母親ほど年の離れた叔母の逃避行なども皮肉だし、墓場で警察に突き出される警視総監(ジュリアン・ベルトー←こちらの年齢のせいか今回魅力的にみえた)の一件なども微妙な謎を残したまま。突き出された先にいるもう一人の警視総監がミシェル・ピコリ。医師と患者の話も大好きなジャン・ロシュフォールが出てきていたり、自由反対デモなど「なにがおかしいんですか」とでもいうように大真面目に演じられる不条理の世界はわからないままだけど気持ちがよかった。ラストの自由反対デモは場所が動物園で動物たちのあきれたような顔も映り、途中カルメル会の一件の旅籠でも狐が出る話が出て来たり、そのシークエンス終盤には意味深に狐のはく製の大写しも。きつねにだまされていたのかというニュアンスも日本人である自分は受けてしまうし、矛盾だらけの人間を狐や動物園の動物はみんなあきれてみているよ、という風にも受け取れる。