ジンジャーとフレッド

遅ればせながらようやっとフェリーニの有名なこの作品を。父がＢＳ放送から録画したものが家にあったがために、つい後回しに。
映画がはじまるなり、すーっと画面の向こう側に連れて行かれ、聖と俗、美と醜がとなりあわせで、物悲しさをたたえながらもそれにどっぷりにはならずに胸をはっているようなフェリーニの世界にずっと漂うことができた。明るい音楽は年をとったそっくりさんダンサーたちの悲哀に拍車をかけそうでありながらその配分がちょうどいい頃合いで、陰惨にならない。
ジュリエッタ・マシーナとマストロヤンニが演じる二人のダンサー、引退してからのそれぞれの生活を思わす表現がごくごくさりげなく、でも十分で、二人の内なる力がみているものをみじめな気持にさせない。また老芸人たちの昔の仲間を介在させる感じもとってもいいと思う。甘すぎず苦すぎず、天賦の力を感じる。
よい時間を過ごせた。フェリーニのもの全部みたくなった。

ジンジャーとフレッド [DVD]