このあいだ読んだ松田奈緒子さんの「えへん、龍之介。」に、芥川の文章のことを「新しいのに優雅で古典的均衡があって―――美しい」と若き川端康成に語らせているのだけど、この言葉を見たとき、もちろん芥川の文章もそうなのだけど、自分にとっては最近ずっと読み続けている橋本治の「双調 平家物語」がまさしくそうだなと思った。現代の言葉で書かれているけれど、平安時代の香りがする。だけど、ただの遠い話ではない。
この巻では為朝がほんとに魅力的だった。さまざまな為朝伝説が生まれるのがよくわかる。10巻めに入っているのだけど、ザ・官僚という感じの信西、保元の乱のところでは為朝側で読んでなんだか虫の食わないやつという感じだったが、藤原信頼のさまをみているとだんだんにちょっと肩を持ちたくなったりした。
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/12/22
- メディア: 文庫
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