トスカの接吻

トスカの接吻 [DVD]

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先日映画「ヨコハマメリー」をみて、老いた人間の姿の表現にうたれるところがあった私。その話(当たり前のことだけど、はじめから老人の人なんかいなくて、それぞれの人生を生きたあと今の老人という姿になっていることや、またその老いた姿そのものがひとつの芸術的表現としても感じてしまうというようなこと)をしていた時に友人にすすめられてみた「トスカの接吻」。こちらのブログを読んだらダニエル・シュミットが「トスカの接吻」について書いた文章もリンクされていて大変参考になる。
ヴェルディが音楽家のために建てた老人ホームでのドキュメンタリーだけど、職員の人が、入所者と一緒にオペラを歌ったり、 相手のいままでの仕事に対して正当な敬意をもって接しているところがすごくよかった。シュミットが語っているブルジョア的でなく文化がちゃんと息づいているイタリア・・うーんたしかにそこがよかった。入所たちのカーテンコールの場面のあの姿、「人にみられる」ということを意識するのって、どうも自分は避けてきたところがあるのだけど、そういう意識のもちようも大事だなと思わされた。
ダニエル・シュミットは「書かれた顔」でも、舞踏家の大野一雄さんの姿を撮っていてその姿は少しハマのメリーさんも彷彿とさせるような、朽ちかけの、他では表現できないような花の美しさのようなものを感じたし、胸がいっぱいになった。なにかあの辺の世界はつながっているように感じられる。