僕のスウィング

すっごくかわいい表紙がついているもので間口を狭くしているのではないかと思うこの作品、実は大人(それもすねた大人)がみてもよいものだった。トニー・ガトリフという監督は、常に自由な心を追い求めている人の味方なんだな。そして作る映画はとっても瑞々しい!主人公の少年と同じくらいの子供がいるので、「ああなるほどな」と思うところも多かったし、それを囲む大人たちもなんかとっても魅力的。そうトニー・ガトリフの映画って、ちょっと常識にとらわれていない切り口で一見地味に見える人の魅力をうまくひきだす。そして何よりはずせないのが音楽!ジプシーの音楽=ガトリフ監督という感じでその完成度もいつも期待を裏切らないし、ちょっとドキュメンタリー?って錯覚するような感じのお芝居くさくない撮り方も大好き。

僕のスウィング [DVD]

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  • チャボロ・シュミット
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2022年8月追記:シネマライズ上映アーカイヴページをみていたら、ガトリフ監督の音楽について詳しい説明があった。↑の自分にはすべてジプシー系の音楽という理解しかできてなかったが、下に書いてあるようなことだったらしい。

★ジプシー音楽とマヌーシュ・ジャズの融合“マヌーシュ・スウィング”

トニー・ガトリフ監督の作品には、いつも魂を揺さぶるジプシー音楽が流れている。
ガッジョ・ディーロ』ではルーマニア・バルカン音楽を、『ベンゴ』ではアンダルシア・フラメンコを、そして新作『僕のスウィング』ではジプシー音楽とマヌーシュ・ジャズが融合されたマヌーシュ・スウィングを思いっきり陽気に響かせる。“マヌーシュ・スウィング”は、あの世界的に有名なジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトが生んだ音楽である。01年に公開されたウディ・アレン監督の『ギター弾きの恋』でショーン・ペンが演じた不器用な天才ジプシー・ギタリスト役は、ジャンゴ・ラインハルトがモデルとなっていたのが記憶に新しい。

ジャンゴ・ラインハルトの後継者チャボロ・シュミットが心と耳で奏でるギターの音色

ミラルド役のチャボロ・シュミットの神業的なギターさばきを目にした瞬間、誰もがマヌーシュ・スウィングの虜になるだろう。当初、ガトリフ監督は、ジャンゴの息子、バビック・ラインハルトと一緒に企画をすすめていたが、バビックの死去により、ジャンゴの第一後継者であるチャボロ・シュミットに映画の出演を頼む。
世界的に有名なギタリストでありながら、チャボロの生活は映画の中のミラルドと変わらない。チャボロは「私たちが演奏しているのは楽譜の音楽ではなく、心と耳の音楽なのだ」と語る。ガトリフ監督は、生活のすべての中から紡ぎだされるチャボロの音楽を忠実にスクリーンに反映し、マヌーシュ・スウィングの息吹を伝える。『僕のスウィング』が公開されたヨーロッパ各地では、チャボロ・シュミットのコンサートが行われ、マヌーシュ・スウィングが世界中で脚光を浴びている。