二十二歳の山田五十鈴の凛とした美しさ、夭折した樋口一葉はこういう感じの人だったのではと思わされる。一葉の生涯をたどりながら、一葉の作品世界も溶け込んでいるのだけど、高峰秀子演じる「たけくらべ」の美登利の場面はほんとに色がついたように楽しい。
放蕩ものの若旦那のストーリーがまざっていて、なんか魅力を感じてしまう優男タイプだったのだが、「大つごもり」の石之助という人物だったようだ。
未DVD化、ビデオも稀少な作品。
all cinema
これも拾い物ビデオだった。未DVD化ビデオのリストをみていて、ふや町のおすすめの印もついていたので調べてみたら京都が舞台、三高出身の森本薫氏原作とのことでみてみたら、すごく斬新。蛤御門の変のあたりの祇園のお茶屋の話なんだけど、舞妓さんや芸妓さんの会話、日常がすごく自然に描かれていて、流れるようでリアルな感じ。男性が声だけ出演というのもすごいし、よくある花街ものと一線を画している。喧嘩シーンも五社監督とかが描くような取っ組み合いではなくちょっとしたどつきあいみたいな感じなんだけどそれがかえってお芝居っぽくなくて迫真。日々の積み重ねのちょっとしたやりとりの京都弁や、さらっと流す感じなどもこの空気!と感嘆した。
ふや町映画タウンの大森さんや、大正生まれの映画好きの父によると同じ石田民三監督、森本薫脚本の「むかしの歌」という船場舞台のものもすばらしいらしい。こちらはVHS化されなかったそうでいつか機会があれば見たい。(「むかしの歌」のことをとりあげておられるブログあり。。こちら参照)