めし

林芙美子原作で大阪が舞台でタイトルが「めし」。これだけで、なんかすごいど根性を原節子が発揮する映画かと思ってしまったが、映画をみる限り、飯炊き女的な大阪での妻としての暮らしにくたびれちゃった東京の女性の物語で、原節子原節子らしい気品。成瀬映画に出てくる原節子は、わりとふくれたりするんですよね。これもそうで、でもふくれていてもあのきれいな声の出し方とかきいているとなんだかとっても気持ちがいい。
最近ずっと小津監督の映画を観ていて、久しぶりの成瀬監督の映画だったけれど、くらべてみると、なるほど成瀬監督が女性を描く監督といわれているのはすごくわかる。いろいろなタイプの女の人をうまく描き分け、女の人のむくれた気持ちとかも細かく描いている。
原節子の実家の杉村春子杉葉子の感じがとてもナチュラルで受容的でいい。成瀬映画でいやな夫役をよくやっている気がする上原謙、この映画ではなんか上品で、好ましい雰囲気。姪の里子はほんとに困ったものだ・・里子の実家のシーンは好きだっただけど。「山の音」でも女性の鼻血に深い意味を持たしてある気がしたけれど、この映画でもそうだった。貧血ではきれいにまとまりすぎ物足りないから、生々しくもある鼻血にしているのかな・・

めし [DVD]

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