イランのモフセン・マフマルバフ監督作品。アフガン難民の男が妻の入院費用を稼ぐために見世物として一週間自転車に乗ったら多額の賞金を出すという話を持ち掛けられチャレンジする話。裏には賭けなんかも設定されいて、妨害もはいったり・・ほんと、なんと無茶苦茶な・・という感じなのだけど、この現実を生きるしかないと自分の道を歩み続ける姿の描き方は重苦しくなく、妻が苦しい床からみる救世主のように美しい夫の幻影、息子とロマの女の子のひととき、夫と協力者のやりとりなどほほえみの要素があるので、苛酷な事態でもすがすがしい。アフガン移民の主人公と日本でそれをみている自分、抱えている問題は隔たりがあれど、人生に起こってくることに対してどう対処していくかというところは普遍的なものがあり、なにか彼と伴走しているような気持ちになる。甘く描いていないのに決して暗いわけではない感じ。基本姿勢としてのリアリティと小休止のいれ方がよい按配になっている。
アフガン移民って言葉はニュースの中に出てくるけれど、89年に映画が作られた時点でだいたいこういう感じだったのかというようなことはもう何より雄弁に肌にしみて感じることができた。
義太夫を聴こう
ずうねこ 2
ほっとするようなこのタッチ、動物園について結構鋭いところを突いていたりもするのに、この筆致でふんわりと楽しく読める。
著者のねこまきさん、「しばおっちゃん」でおじさんにも光をあてていたけれど、これもおばさんを愛情深く描いていてなかなかいい。
- 作者: ねこまき(ミューズワーク)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2016/07/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る