大阪の宿

東京からみた大阪、というのをすごく感じる映画。原作者の水上滝太郎氏の経歴をみていると、この物語の佐野周二演じる主人公にいろいろダブる。
左幸子の真に迫ったちゃっかりぶりがすごかった。普段、割合おとなしい、堅実な役を目にすることがが多い気がする乙羽信子の芸者姿が仇っぽく哀愁もあり魅力的。藤原釜足が憎めんおっさんを、多々良純が俗物を好演。

ビデオについている解説に、

五所作品ではいつもカメラが印象的であるが、ここでも小原譲治の柔かく大阪をとらえている画調が注目に値する

と書かれている通り、陰影のつけ方、玄関でのやりとりの向こうに見える小窓からの別の人のさま、などカメラがなかなかいいと思う。

大阪の宿 [DVD]

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  • 発売日: 2007/09/29
  • メディア: DVD
みたのはVHS版

浪花の恋の物語

橋本治の「浄瑠璃を読もう」の中に出てきたのでみてみた。橋本さんはこの映画好きだけど、近松のとらえ方がちょっと違うだろうなというようなことを書いておられた。
文楽の舞台をはじめと終わりに出す構成などは楽しい。橋本さんのを読んでいることもあり、原作や文楽の舞台の方がクールだろうなとも思う。
主人公の友人役の千秋実がすごくよくみえた。若い時の千秋さん実際的な感じでなかなかいいかも。

浪花の恋の物語 [VHS]

浪花の恋の物語 [VHS]