デリンジャー

 

1973年 ジョン・ミリアス監督作品。

ふや町映画タウンのおすすめというだけで、予備知識なしに鑑賞。

1930年代に実在した銀行ギャング、ジョン・デリンジャーを描いたもの。ジョニー・デップが2009年に演じた「パブリック・エネミーズ」も同じ人物が主人公らしい。

ジョン・ミリアス監督についてwikipediaには

アメリカン・ニューシネマ文化の底流を引き継いだ叙事詩的かつアクション性を採り入れた大作が多い。

と書かれているが、確かに銃撃戦に次ぐ銃撃戦ではあるのだが、記録映画ぽいストイックさがあり派手すぎないし、FBIとの闘いを面白く描くところや田舎の父とのやりとりなど非情なばかりの人間ではない側面*1などにアメリカン・ニューシネマっぽい精神も感じた。

ジョン・ミリアス監督、「ビッグ・ウェンズデー」*2も名前が先行していたもので勝手に能天気なサーフィン映画かと思いきや、落ち着いて苦みもあるサーファーの映画で驚いたことがあったけれど、ミリアス監督についてのwikipediaにもあるように描いているのは時代そのものだったのかもしれない。

デリンジャー」でもFBIとギャングとの闘いの歴史のドキュメンタリー的な紹介があり、「Gメン」という名前の発生の説明など興味深いし、チャップリンを執拗につけ狙いアメリカに住めなくしたFBI長官 J・エドガー・フーヴァー*3や、チャップリンと仕事をしていた俳優ダグラス・フェアバンクス、そしてボニーとクライドも名前が出てくる。この映画もジョン・デリンジャーを通してその時代そのものを描いており、大恐慌以降、多くの人が貧窮してしまい生きていくための手段を選ばなくなった「北国の帝王*4などとも時代背景として結びついていることを感じたし、評判はまちまちだけど、ディカプリオがフーヴァーを演じた「J・エドガー」に俄然興味が起きてきた。

*1:ジョン・デリンジャーのwikipediaには父に勘当されたことしか載っていないが・・ギャングという不法行為は許されないが、大恐慌後の世の中で義賊的な色彩もつけられ皆がそれを歓迎するなら父も認めざるを得ないというシーンは落ち着いていてよいものだった。

*2:ビッグ・ウェンズデー - 日常整理日誌

*3:私はNHK BS1で観たフランスのドキュメンタリー「チャップリンとFBI 赤狩りフーバーとの50年」で知った

*4:北国の帝王 - 日常整理日誌