GONIN、GONIN サーガ

 

 

「GONIN」(1995)と「GONIN サーガ」(2015)を一気見。両方血みどろかつ暴力シーンがキモにもなっている作品なんだけど、溢れる気迫、登場人物の思いが凄くて胸に迫る。2015年版は95年版の物語の続編、95年版の登場人物の子どもたちの物語。95年版では点描になっていた事件に巻き込まれ殉職した警官のストーリーが2015年版ではしっかり拾い上げられ、その息子役柄本佑の職業人的で地味なかっこよさ!また95年版の主要人物氷頭を芸能界引退していたにもかかわらずこの作品のみの条件で出演した根津甚八が今回も演じていてこれがまたすごくいい!医療的にはさじを投げられている者の気迫。リアリティのないかっこよさでなく、様々な臭い漂うクライマックス。同じ石井隆監督の「死んでもいい」*1でもだったが、歌舞伎など古典に息づくスピリットを違う様式で表現しているように感じる。

95年版はバブル崩壊後の空気が画面から匂い立っていて、デストピア的な展開なんだけど浪花節的情念の果てにみえるロマンに心が動かされる。ここも古典精神。

95年版で窮鼠猫を噛む動きをする竹中直人だが、2015年版に鼻に吸入つけながら登場。竹中は、前作とは別人ではあるけれど小さな共通点も持たせてなにか生まれ変わり譚的なものも想像させる人物。あの世とこの世のつながりを全編とても感じさせるストーリーになっていて様々な仕込みがある。

ただ竹中直人が演じたのはヤクザの上層部が派遣したヒットマンなんだけど、同じ立ち位置の95年版のたけしの方が生活者の匂いがしてずっといい。竹中直人たちが演じてるのはかなりタランティーノ的、アメリカン・コミックの匂いのする輩だ。時代ゆえか。

2015年版敵役安藤政信のジュニアぽい弱々しさと虚勢も素晴らしく良くて全体を流れるテーマにきっちり呼応している。あ、そうだ忘れちゃいけないのが、95年版の椎名桔平演じるパンチドランカー。すごいキレと存在感。大層良かった。