「戦国群盗伝」「国定忠治」「六人の暗殺者」

スキっとした物語が観たくなりなんとなく手に取った「戦国群盗伝」(s12)、山中貞雄の脚色が素晴らしく本当に面白い。中村翫右衛門の豪胆だけど調子のいいところもあり、不思議な魅力のあるキャラクターが上品な河原崎長十郎と出会うことによって生まれるさらなる境地。そして若き加東大介の可愛いいこと。黒澤明サード助監督作品。

ビデオ同梱の山根貞男氏の解説にもあるが、確かにその後の黒澤映画と似た香りも漂っている。この作品の騎馬合戦シーンが「七人の侍」や「蜘蛛巣城」で生かされていることは、黒澤明の著書「蝦蟇の油」にも書かれているとtwitterコメント欄で教えてもらった。

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観た日本傑作全集のVHSはこの前後編↓を総集編にしたものと思う。

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滝沢英輔監督に興味を持ち、次に観た監督作品が新国劇メンバーによる「国定忠治」(s29)。

 

ヒーローぽい描き方でなくてほんとにびっくり。「赤城の山も~」の台詞などと関係のない世界。古くからの仲間からみた忠治像。ドラマとして面白い。山根貞男さんの解説によると新国劇の基本精神=リアリズムに適合とのこと。ただならぬ迫力の日光の円蔵という人物が出てくるが、忠治役辰巳柳太郎新国劇の二枚看板を担った島田正吾だったらしい。

 

もう一本、滝沢英輔×新国劇の「六人の暗殺者」

こちらは島田正吾が主人公。かっては思想的な齟齬を感じ龍馬を暗殺しようと思っていたのが、龍馬と話してみてその意気に通じ、龍馬暗殺後犯人を追いまくる土佐藩士 伊吹武四郎という男を演じている。龍馬暗殺の下手人はいろいろな説があるそうで、いまだはっきりした正解が出ていないように思うけれど世の中の流れに身を任せられない信念の人の幕末から明治を描いている。

島田正吾が追っかける相手を辰巳柳太郎が演じているが、死闘シーンの迫力!舞踊的な斬りあいとは全く派の違うものがあった。

勝海舟役に三島雅夫(なんだかどこかかわいらしい感じも)、近藤勇山形勲(敵役的な存在だけど、良い描き方。その加減も良かった。)と、新国劇メンバーじゃない人々の姿も楽しめる。

 

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