新幹線大爆破

 

3月末に山本圭さんがお亡くなりになられた時、この作品での悔しそうな圭さんの演技を思い浮かべて追悼する方が多かった。私の圭さんのイメージは遺作にもなった倉本聰の、テレビ関係者のみの高級老人ホームが舞台のドラマ「やすらぎの郷」シリーズの続編。石坂浩二ミッキー・カーチスとの三人の釣り仲間姿で、えらく穏やかな姿。あだ名も「大納言」。なので、お若い時こんな感じだったのか!という感慨。皆さんがおっしゃるように運動家くずれの青年を好演。

皆さんの再三の評判をきくまで、パニックムービーだしなあと後回しにしていたのだが、「シン・ゴジラ*1的とでもいおうか、守る側も犯人側も人間描写がとても丁寧。守りの方の国鉄ー警察ー国の考え方のせめぎあい、組織や社会と人間が力強く観客を引っ張る形で描かれ、固唾をのみながらラストまで連れていかれた。何回か用意されているハラハラもよい出来。ビジュアル的な工夫も良い。

クライマックスシーンの運転手役の千葉真一の行動はなぜここで千葉さんが?職務的にどうなんだろう?・・これは千葉真一に花を持たすだけのシーンになってないか?などとちょっと思ったが、wikipediaによると千葉真一の発案だったらしい。

wikipediaを読んでいると国鉄の運転の指令長役だった宇津井健が当初犯人役という想定もあったとか。それはそれでよかったかもしれない。宇津井さん清廉なイメージだが、近年の三浦友和みたいな意外な役の姿も観てみたかった。

私の周辺で評判の良い、宍戸錠さんの弟でちあきなおみ氏の夫、郷鍈治氏、この映画でお姿を憶えた。すばらしい存在感で話を盛り上げる。

志村喬氏の国鉄総裁姿、シーンは少ないが貫禄があり嬉しい。こんなところも「シン・ゴジラ」的だと感じた。