最果ての地

 

最果ての地 (字幕版)

最果ての地 (字幕版)

  • Mary Elizabeth Mastrantonio
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ジョン・セイルズ、監督作の「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」「希望の街」*1や脚本作品「ブレイキング・イン」の手際の良さ、面白さに感銘を受け、またまたこちらの監督作を鑑賞。

タイトルからジャケット、出演者、すべて地味なんだけど、これがなかなか面白い。

原題「LIMBO」はカトリックで幼児が洗礼を受けない状態のまま亡くなり、魂が天国でも地獄でもない場所におかれるという意味らしいが、そこからどっちつかずの意味にも使われているらしい。この作品では、自由に生きる女、その娘、そして二人と出会う、育ってきた土地で過去には敬われつつも事情があって遠ざけられているような孤独な男の三人が軸になって話が進む。男の置かれている現在も「LIMBO」、そこから起きる事態も「LIMBO」、奔放な母がつきあいだしたその相手の男に実は以前から好感を持っていた娘の状況も「LIMBO」である。さらにいえば、アラスカという土地をテーマパーク的に使う時に普通の生活者の暮らしが開発デベロッパーからみると見た目悪く立ちふさがっている存在でありそれを作られた空間に置き換えようとする、その折り合い、こんなことも「LIMBO」であり、このことは京都に住んでいるとえらく身近だ。

娘の想いについても、時々見受けられる「愛した女は過去に愛した女の娘だった」式の男の勝手なロマンみたいな下世話な感じに描かれているのでなく、繊細に事態は事態として冷静に話を進める監督の語り口がいい。

三人が気軽な旅に出かけたはずが・・というストーリーだが、危機に際しての三人の姿が本当にそういうことあるだろうな、自分もこういう風になりかねない、というリアルさに満ちていて、それが結果どうなった、という結論ばかり追い求めるパニックムービー的な描き方でなく、じっくりとこちらに考えさせる構成。

この連休、netflixのドラマをいくつかみていて、それはそれで現状への切り込みをわかりやすい形で描いていたり、人の目を惹く構成に感心したりもしたのだけど、久しぶりにじっくりと文学作品に触れるような風合いのこの映画に出会ってこれこそ豊かな時間だしこういう時を大切にしていきたいなどとも思ってしまった。