新聞記者、i-新聞記者ドキュメント

 

新聞記者

新聞記者

  • 発売日: 2019/10/23
  • メディア: Prime Video
 

 

i-新聞記者ドキュメント-

i-新聞記者ドキュメント-

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Prime Video
 

両方観た方からは「i−新聞記者ドキュメント」の方を推す声をきいていたが、自分も二本続けて観てみて、「i -〜」の方をすすめるな。「新聞記者」は劇映画であり、これ現政権の話やん、というのをよく表現できたなというのはある。けれど最後の方、ちょっと綱渡りすぎやしないだろうか。松坂桃李がやっていた役の人ならもっと綿密にことを運べそうな気もして。そうすると勢いがなくなるか。。白石監督の「孤狼の血」という映画で松坂桃李がやはりとても真面目な刑事だったのが、組織の矛盾に突き当たり、そこからのアクションがなかなか見せ場のあるもので、あの素晴らしさからのこの仕事ではと思うのだけどとにかくなんだかもうこんな情熱だけで押し切る感じでは桃李くんのことが心配で心配で、やきもきして終わってしまった。敵役?田中哲司氏、以前こぐまのように人の良さそうな役をみていたもので、今放映中のNHKの医療ドラマでサイコパス的な患者の役をしていて驚いたのだけど、この映画で既におっかない役。食えなくて不気味な雰囲気。もしかして一時の佐野史郎のように怪優への道をひた走りか?

「i-〜」の方は森達也監督が「新聞記者」の原作者東京新聞の望月記者を撮ったものでこちらはなかなか面白かった。いろんなところに突っ込んでいく望月さん。散漫になりやしないかとかつまらん心配も起こしたが、宮古島の件などでは一定の成果をあげておられほっとした。菅官房長官への望月さんの質問がさえぎられる件は以前からきいていたが、この映画の切り取り方をみていたら、戦略もたてて行動されてるとは思うけど、これでは平行線になってしまうよな、はて、どうしたらいいのだろうという気持ちにもなった。グループ行動がお嫌いというのともちょっと関係あるのかな。そんなことをいろいろ考えさせてくれるのが「i-〜」のいいところだ。

フリーの森達也監督のフリーさを活かしたいろんなアクションはとっても面白い。望月さんの動きと並行しての彼の動き、みているものと同じ地平からのスタートという気持ちにさせてくれる彼の映画の撮り方、これはいつもすごい武器だと思っている。

ラストの感じ、どっち側にせよ、集団的に暴走することのこわさ、その通りである。人間いつもいつも正しい判断ができるわけではないけど、軌道修正する懸命さを持てるようにしていかなきゃな。