ドキュメント日本幻夜祭・1971 三里塚、ベンポスタ子ども共和国

行きつけのビデオ店、ふや町映画タウンの在庫リストから気になって見てみた。いずれも青池憲司監督。

「ドキュメント日本幻野祭」

 

日本幻野祭三里塚1971 [VHS]

日本幻野祭三里塚1971 [VHS]

  • アーティスト:オムニバス
  • 発売日: 1999/09/20
  • メディア: VHS
 

 

ビデオについていた解説によると

1971年8月14,15,16日の3日間、成田空港建設反対闘争の最中、三里塚青年行動隊主催により〔アートフェスティバル”日本幻夜祭り~三里塚で祭れ”]が開かれた。当時の三里塚は10月に予定される第2次強制執行を前に一時的な休戦状態にあった。そこで紛争の骨休みをかね、また秋の決戦に備え団結心を誇示するため「村祭りでも」と、なった次第だ。

 とのこと。ストレートタイプな感じのジーンズとTシャツといういでたちの人が多かったり、裸になってトランス状態を作り出しているような人々*1学生運動の言葉遣いなど、こういう時代の空気だったなとはとても感じた。脚注で引用した阪本さんのブログにも書かれていたし、ビデオにはさまれていたリーフレットにも記されていたけれど、そこに一堂に会しているロックファン、農民、運動している学生、それぞれの意識の差は感じられた。中年になってからみたもので、もし、自分の地域で何かが起こって反対しなければいけない事態だった時、こういう風に外から人が入ってきたら、ありがたい、だけではすまない意識の差というのが絶対あるだろうなと感じた。

 

ベンポスタ子ども共和国」

movies.yahoo.co.jp

は、スペインのオレンセ市郊外で学習と労働とサーカスの練習という共同生活を送っている6歳から18歳までの子どもたちの暮らしを撮ったもの。(少しの大人も一緒に住んでいる。でも、管理とかではなく、規律のある自治寮的な雰囲気。サーカスの収入が運営の経費をかなり賄っている。)画面から伝わる、自分で自分の生活の中で感じたことを話し合って改善していく感じは健康的だった。よきものを求めて共同体に入る気持ちはカルトといわれる集団に入った人にもあるだろうけれど、分かれ目はどこなんだろう・・

日本から来た子どもたちの初日の緊張した表情、その後の暮らしが特に密着というわけでもなくさらっと描かれているところ、会議で、共同体で飼っている犬の飼い方について問題視している子どもの提案や、自主自立ゆえにみんなが好まない仕事に手を挙げる人間が少ない苦労のつぶやきなど、子どもの生の気持ちを身近に感じられる場面を拾っているところに共感した。

 

青池監督は2018年にも東日本大震災で被災した石巻の小さなコミュニティについての映画『まだ見ぬまちへ〜石巻・小さなコミュニティの物語〜』を撮り、2018年 第92回キネマ旬報ベスト・テン 文化映画ベスト・テンの第10位に選ばれているそう。監督は人と人が協同していくというテーマを持っておられるのだろうか・・

aoikegumi.shinsaihatsu.com

 

*1:阪本裕文さんという方のブログによると「ゼロ次元」の全裸パフォーマンスとのこと。そして、「ゼロ次元」というのは、調べたら、秋山祐徳太子や、60年から70年代の映画をみていると時々見かける「ハプニング」のパフォーマンスと関係があって映画「薔薇の葬列」にも出ていた人たちらしい。当時耳にしていた「ストリーキング」とも関係あるようだ・・・