渚のシンドバッド、二十才の微熱

 

渚のシンドバッド

渚のシンドバッド

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

二十才の微熱 [DVD]

二十才の微熱 [DVD]

  • 発売日: 2002/03/20
  • メディア: DVD
 

 両方みたのはVHSで。

先日橋口亮介監督の「恋人たち」を観て、いたく感激し、初期作品を鑑賞。

まずみたのは「渚のシンドバッド」。高校生役の浜崎あゆみが鮮烈。橋口監督のものって一見無関係にみえる一人一人の描写が続いたあと、それがちょっとずつつながっていってというものが多いように感じるが、こちらもそうで、最初の個々の描写が丁寧だから、それぞれの心の中のもやもやもよくわかる。軸になるのは岡田義徳演じる伊藤という高校生と、彼が思いを寄せる草野康太演じる優等生、吉田、そこと微妙に関わる浜崎あゆみ演じる相原だけど、山口耕史という俳優が演じた奸原とおるという軽めの友人役にもひかれるものを感じた。というのは、吉田と、その彼女の清水あたりのやりそうなことっていうのはかなり自分と似通っていて、自分のダメな部分がはっきりわかってしまい、つらくなるのだけど、奸原というのは自分とまるで違うカテゴリーの、思いのままに自然に生きているタイプで欠点はあるのだけど、そういう人物をみている方が自分は気持ちがラクになるのだ。

ピンク・レディーの楽曲と同じタイトルだけど、あの曲がかかったり、あの曲の持つ陽気さをそのまま映しているものではない。でも、twitterでそこまで書いたところ、橋口監督は「二十才の微熱」でも、郷ひろみの楽曲のタイトルをひいてきていて、音楽との関りがとても強い監督だと教えていただいた。そう考えると、ピンク・レディのあの歌詞をこういう風に描いているのだなあということに瞠目。

監督の出身地長崎で撮られているというのも祖父母が長崎出身で長崎の風景の好きな私には嬉しい。

「二十才の微熱」、ビデオジャケットの言葉を使わせてもらうと、主人公の樹は「愛さない代わりに優しい」。これは、「渚のシンドバッド」の吉田もだったし、その彼女の清水もだったかも・・「恋人たち」*1に出てくる、リリー・フランキー演じる調子のいい先輩もこの部類かな・・橋口監督からお前はどうなんだ、と問われているような感覚に。

虚無的に生きている樹も、樹のことを好きで、デザイナーになる夢を語る高校生の信ちゃんも、別の彼がいるのに樹とつきあい始める片岡礼子演じる鈴木先輩も90年代の若者らしくかっこ悪い姿をさらさずに生きようとしているが・・そこからの展開、かっこ悪くさらけ出すのって取り繕ってかっこいいことよりパワーあるのでは?という着地点。「まんが にっぽんむかしばなし」のラストのテーマソングがこんなに胸に響くとは!あっやっぱり楽曲との強い結びつきがあるんだな、橋口監督。

余談だけど、

f:id:ponyman:20200422133400j:plain樹と先輩の部室入口に貼ってあるポスター「ゼンダ城の虜」。夢の遊眠社だな、となにか嬉しくなった。80年代に時々遊眠社の舞台を観に行っていたので。「ゼンダ城~」は、92年の夢の遊眠社の解散公演だったそうだ。