オルカ

 

オルカ [AmazonDVDコレクション]

オルカ [AmazonDVDコレクション]

  • 発売日: 2019/03/22
  • メディア: DVD
 みたのはvhs版。

公開時「ジョーズ」のパチモンみたいな言われ方も耳にしたが、そんなことはないんだぞ、という声を信頼できる人からきいてみてみた。

動物学を専攻している人からよくきく「人間が特別偉いなんて思うなよ」という言葉を思い出す、生き物への畏敬の念に彩られた作品。

最初は水族館に卸して金儲けなんて映画「ハタリ!」みたいな発想のリチャード・ハリスが思い直し、真剣にな表情に変わっていくところにリアリティがあるし、彼をそういう気持ちにさせるきっかけを作るのがシャーロット・ランプリング演じる学者。スベシャリスト魂の持ち主。この二人の間にデレデレしたものが流れなく、話も予定調和なところがないところがストイックでいい。

カッコーの巣の上で」でとても印象的な役、チーフを演じていたウィル・サンプソンという役者さんがこちらでも大事な役で出てくる。

三者三様のオルカへの考え方。リチャード・ハリスの当初の商業主義に釘を指すつもりでオルカの能力の話をしたシャーロットが、ついていけなくなるほどの気持ちになるリチャード。それは、彼自身のつらい経験をすっかり重ね合わせてしまったゆえだろう。ウィル・サンプソンは、いかにも昔からの土地のものという感じで、オルカのこわさも知っているが、振り回されるのとは違う冷静な考え方。リチャードは、もう、完全に男と男の決闘という考えになっている。彼の人生そのものの決着をつけにいくという考えだ。それ故シャーロット・ランプリングとの関係もああいうものだったんだろうな。パニックムービーなどでは全然なく、描いているのは、背筋をまっすぐに人生に立ち向かっていく男の生き方だ。そして、オルカの方も、退治するなどという、人間の思い上がりが通用するような存在でなく、もし人間が演じるとしたら三國連太郎のような、スケールも大きければ激情も力も信念も強そうなそんな相手だ。

そして、人間の小ささを感じさせるような美しい映像。

しかしもともとの事件の起こりであるメスのシャチを捕獲してその子どもが。。というシーンでは、人間に近いものを感じさせる音声もリアルでなんとも嫌な予感に満たされた。