地獄の警備員

 

地獄の警備員 [DVD]

地獄の警備員 [DVD]

  • 発売日: 2008/06/20
  • メディア: DVD
 

 みたのはVHS版。1992年黒沢清監督作品。

 警備員さんがとんどもない人物だったら?という日常の盲点を突いた作品。松重豊演じる殺人鬼的な警備員は、元力士という設定。ホラー映画をみていると、脳の、物事をおかしく感じる部分を刺激される気がするのだけど(防衛反応?)、松重氏が相撲のぶつかり稽古風の体の動かし方をするところなど、観ながら笑ってしまう。別に笑かせに来るわけではなく、獲物を追い詰めている、その真摯さをそのまま表現している、そこにおかしみがあるところがとても良い。この雰囲気、佐々木浩久監督の「発狂する唇」(2000)や「血を吸う宇宙」(2001)*1とも相通じる気がしたのだけど、佐々木監督はwikipediaによると、1993年まで黒沢清監督の全作品の助監督を務められたとあり、この作品でも助監督をされているので、この空気は佐々木監督のあれらの作品と血縁関係にあるといってもいいだろうと思う。

印象に残ったのが諏訪太朗氏。物語の中でも、諏訪氏が演じている人物に光が当たるように設計されているのだけど、諏訪氏もまた「発狂する唇」や「血を吸う宇宙」での存在感がくっきりしている俳優さん。この映画で嫌味な役を好演の大杉漣さんも、「発狂する唇」での奮闘がすごかった。やはり、姉妹作品的に、あわせての鑑賞がより相乗効果で楽しめると思われる。

そして、この作品の話に戻ると、この松重さん演じるモンスターの扱い、「美女と野獣」の香りも漂わせていて、不思議なコクを感じる作品である。