主戦場

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慰安婦問題で対立する意見を日系アメリカ人You Tuber ミキ・デザキ氏がひろい上げ退屈しないタッチで巧みにまとめた作品。対立する論点を箇条書き風にまとめ、それぞれの陣営の意見を撮っているのだけど、パンフレットで森達也氏が

映画は論文ではない。あなたは主張する主体の表情をスクリーンで見る。声を聴いて目の動きを確認し、一瞬の笑みや吐息に気づくこともできる。言葉だけでない。そこに本質が現れている。

と書かれているように、私のようにみているだけの人間はその論点になっていることを自分で検証することは難しいが、話している様子からどちらの態度が自分にとって信頼おけると思えるのか、それは認識できてしまう。。とはいうものの、ドキュメンタリー映画というのは膨大なその人の人生からそれを作品にする部分を切り取っているわけで、片方のいやなところはきっちりわかったが、もしかして自分が信頼おけると思っている陣営のいやなところは公開されなかったのかもしれない・・ということも考えてしまう。

デザキ氏のスタンスは、彼も肩入れしているであろう陣営の欠点、賛同できない点も指摘していて、そのさじ加減も含めうまくできた作品だなあとも感じた。

片方の陣営に完全に加担するわけでなくても、少なくともレイシスト的な発言が気になる側にはくみするわけにはいかない、そこまででいいのだと思うし、なにかに属した途端集団の意見にのまれるくらいなら、消去法で物事を考えていく方がいいように思われる。

大切なことが十分な議論がされないまま決まっていき、不安を感じる昨今、日曜の朝早くから京都シネマに人が集まっていることは嬉しかったし、ほのかな、本当にほのかだけど希望も感じた。