愛なき世界

愛なき世界 (単行本)

愛なき世界 (単行本)

しおんさんは、世の中に細かいことはあまり知られていない、一見地味だけど、誰かが打ち込んでいる美しい世界を表現するのを得手とされていて、今回は植物の研究者の世界。
身近に広い意味でのその世界の人がいるもので、聞いている通りだと楽しむことができた。
高校生くらいの時から自分は植物のあれこれ考えずにとりあえず生きている姿に惹かれていたもので何かその気持ちにもつながるようなことが書かれていて頷きながら読んだ。
しおんさんの作品では世の中に生きているそれぞれくせのある人間の個性を愛する姿勢をいつも感じる。この本もしおんさんの描く世界に沿っていく安心感をおぼえ、疲れていてもこの世界に帰っていくことでゆっくりした気分を味わえる本だった。