92歳のパリジェンヌ

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実話を基にした尊厳死がテーマの物語。92歳の主人公の雰囲気、描き方、とてもリアリティーがある。
みている間は、主人公の思いを遂げさせてあげてほしい、それしかないのだが、いざ自分がこんなことをいわれたとき、どう行動するだろうか・・主人公の娘と息子が対比的に描かれていて、息子は頭ごなしに管理していくタイプなのだけど、柔軟な対応というのが苦手な自分にはこの息子が気になって仕方なかった。自分はあそこまで積極的なネガティブ対応はしないにしても、形が違ってもどうしても流れに乗ってほしいと考えがちの限界があり・・一番苦しんでいるのは彼だという言葉があったが、彼としての落ち着きどころはどこだろうか・・
色彩や衣装など美術の設計がよくて、とても気持ちよく映画をみることができる。こういう要素、何をするときもとても大事だ。理念の入り口をきれいに整えること。
ジルベール・ベコーの“そして今は”という、主人公が入院を余儀なくされた場所で使われるそのシーンは素晴らしい。お年寄り側に寄り添った視点が与えられた。看護士もまじえた小さな連帯、自分の頭でものごとを考える姿勢というのはすんなり入ってくるし、大賛成なのだけど、そこからの結論としての尊厳死、これは考え込んでしまう。最終のぎりぎりに延命をのぞんだりはしないけれど・・でも、とにかく、自分があの家庭に育っていたら受け入れただろうな・・

92歳のパリジェンヌ [DVD]

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