息の跡

出町座にて。公式サイト
ドキュメンタリーの主人公は陸前高田のたね屋さん佐藤さん。津波の体験を独学の英語で冊子にまとめ、さらに中国語やスペイン語などでもまとめようとしておられる。舞台は陸前高田で、佐藤さんは被災体験があったからこそそれを乗り越えるために、整理をつけるために冊子をまとめ、そして生活していくため井戸を掘り、種を育てて売っておられるのだけど、被災した人の特別な物語でなく、佐藤さんはこのように生きている、自分はどう暮らすかということを考えさせられた。自分の周りの人の息づかいをしっかりみようという気持ちにも。
佐藤さんは、自分で作った冊子をバイブルと呼んでおられ、夜によく朗々とそれを朗読されているのだけど、生活とは自分のあたまで工夫してきりひらくものという哲学が暮しぶりからにじみ出ていて、変わったおじさんという感じでなく、(公式サイトにあったように、ドン・キホーテか、ロビンソン・クルーソーかというような個性的なおじさんではあるだろうけれど)とても神々しく感じられた。「わたしは悲しみの種を売っているのではない。希望の種を売りたい」というような表現もよかったなあ。。劇場で売られていた冊子には種子がついていたようだが、買って植えるべきだったー。。
お若い監督だけど、佐藤さんという素材を得て、佐藤さんの暮らし方から感じたものの伝え方がまた優れていた。