牝牛と兵隊

監督は「ヘッドライト」「地下室のメロディー」のアンリ・ヴェルヌイユ
ビデオパッケージの柳生すみまろさんという方の説明によると、主演のフェルナンデルはフランス喜劇の《至宝》で、独特の《ウマづら》と達者な芸で人気も実力もトップの人だったという。

第二次大戦中のドイツ軍捕虜のフランス兵士の脱走ものだけど、もともと農家の手伝いをしていたことから、牝牛を連れて牛の散歩の体で脱出してしまおうという物語。一見のんびりとした牝牛との旅という感じだけど、命がけの逃亡ではあり、そこは崩していないところが、この作品のよいところ。緊張感が、牝牛との一体感を盛り立てる。バディムービー的な空気も。そして、その中に織り込まれる余裕。音まねを使ったいたずらや、ひっかけ。にやっとするようなほどのよい風合い。そこにフランスっぽさを感じた。

こういう地味で味わいのある作品が92年にはポニー・キャニオンから出ていたんだなという感慨も。

牝牛と兵隊 [VHS]

牝牛と兵隊 [VHS]

  • 発売日: 1992/05/21
  • メディア: VHS